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燐光のジャケット
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[Intro]

朽ちた木が
暗がりで光るように
消えたものが
まだここにある

[Verse 1]

雑居ビルの脇の階段
隣からピエロの音色が 
漏れていた
あの年世界が揺れていた春に
私は学生に戻っていた
駐車場で怒られて
笑いながら教室に滑り込んだ
あの窓から見えた空が
なぜか今でも青い

[Verse 2]

喫煙所の白い煙の中で
上目遣いに言葉を投げてきた
人目を気にして動揺した
うまく返せなかった午後
三十二のままで
時間が止まった友がいた
ジェルで固めた7センチ
元気にしてるさや

[Pre-Chorus]

初めて会ったはずなのに
この温度を知っている
名前も知らない人の中に
見慣れた光が滲んでいる
穏やかに拍動している
心の中で感じた
久しぶりだなと

[Chorus1]

二人でピエロを眺めて
笑い合った
何とでもなると思っていた
掴んだものは何もないのに
窓の外を探しても
言葉にしてみても
時が経つほど
今でも青い

[Verse3]

見覚えある路地に差し掛かり
目線だけが流れていった
煉瓦造りのマンションだけ
ピエロの喧騒の跡地は戸建てが並んでいた
タバコも吸わなくなった
左折したらいつもの道だった
燐光が消えた

[Bridge]

人目があって言えなかった
気の利いた言葉も出なかった
あの階段はまだあるだろうか
今日も誰かが上っているだろうか

[Chorus2]

二人でピエロを眺めて
笑い合った
不安より今が勝っていた
掴んだものは何もないのに
窓の外を探しても
言葉にしてみても
時が経つほど
今でも青い

[Outro]

朽ちた木が
暗がりで光るように
私もいつか
誰かの中で

Track 06

燐光

PHOSPHORESCENCE

朽ちていくものの中で、それでも残り続ける光。

LISTEN / 楽曲を聴く

リリース日
UPC
825181769351
ISRC
QZZ7S2686671
レーベル
Happy Hands Records

About the song

この曲について

朽ちていくものの中で、それでも残り続ける光。

消えていく存在が放つ最後の光は、誰の中に残るのか。

Concept

消えた場所と人が、記憶の暗がりで光り続ける

『燐光』は、過ぎ去った学生時代の風景を、朽ちた木が暗闇で放つ光に重ねています。雑居ビルの階段、隣から漏れるピエロの音色、喫煙所の白い煙、教室の窓から見えた青い空。どれもすでに手を伸ばして戻れる場所ではありませんが、記憶の中では当時よりも鮮やかな光を帯びています。

現在の街を歩くと、見覚えのある路地の先で、かつての建物は別の景色へ変わっています。その瞬間、外の世界に残っていた燐光はいったん消える。しかし曲の最後では、記憶する側だった語り手も、いつか誰かの中に残る光になると気づきます。喪失の歌は、存在が別の人へ受け渡されていく静かな願いへ変わります。

世界が揺れた春の教室

大きく揺れる世界の中で、語り手は学生へ戻り、友人たちと笑いながら教室へ滑り込みます。不安な時代でありながら、「何とでもなる」と感じられた時間。その窓から見た空の青さが、記憶全体の色として残ります。

止まった時間と、見慣れた光

三十二歳のまま時間が止まった友と、初めて会ったはずなのに懐かしい温度を宿す誰か。人は同じ姿で戻らなくても、仕草や気配の中に見覚えのある光が滲むことがあります。「久しぶりだな」という感覚が、記憶と現在をつなぎます。

跡地で消える燐光

年月を経て同じ道を通ると、喧騒の跡地には戸建てが並び、変わらず残っているのは煉瓦造りのマンションだけです。場所が失われ、暮らしも習慣も変わったことで、過去へ続いていた外側の手掛かりは途切れます。

誰かの中で光る

冒頭では、消えたものがまだ「ここ」にあると歌われます。アウトロでは、その視線が自分自身へ向かいます。いつか自分の姿がなくなったあとも、何気ない言葉や一緒に見た景色が、誰かの暗がりを照らすかもしれない。その希望が曲を閉じます。

Themes

作品をひらく言葉

存在 光 記憶
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